「覇者の未来」デビッド・C・モシュラ
- 作者: デビット・C.モシェラ,David C. Mochella,佐々木浩二
- 出版社/メーカー: IDGコミュニケーションズ
- 発売日: 1997/10
- メディア: 単行本
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1997年に書かれた名著。
世界規模でのIT産業再編の大波…。コンピュータ、通信、情報家電、コンテンツの4分野が収束され、数兆ドルの巨大市場が姿を現す。戦慄のネットワーク時代で生き残るための条件とは何か? という本。
ふと思い出し、書棚から引っ張り出して読み直してみました。
凄いじゃないですか・・・。
あの頃も、衝撃的なリアリティで話題になった“予言”書でしたが、今この時代に読むと、ほんとにそのとおりに進んでいます。電話やインターネット、放送が一緒になる、トリプルプレイ(+コンテンツ)みたいなのは、まあ、推測できたことではあり、たとえばソフトバンク社なんかは全くこの本の通りに突き進んでいますね。
でもそれだけじゃなく、何気ないところにSNSやハードウェアのオマケ化、そしてソフトウェアのオマケ化、金融のネット化も触れられている。
まあ、半分くらいは古い部分もあり、あのころ、ここに書かれている事象のうち、どれに絞るかがセンスだったのかも知れません。
GoogleやAmazonの原型のような部分もあります(まあ、さすがにこの2社のモデルをズバリ当てたとは言いがたいですが)。
この「ネットの時代」1995-2005という年代の当て方がすごい。
ではこれからの10年はどうなるのでしょうか?
考えるとわくわくします。
この本には「コンテンツ中心」と書かれています。
ただ、それはニュースとメディアということではない。金融ほかヘルスケア、教育まで。
では物理社会はどうなる?インテリジェントな車、家、工場、ロボット、など。これらとITサプライヤーが入り混じった再編成になると。
どんどん「道具」のハードルが低くなっていき、いよいよ「中身」の勝負になってくるんでしょうね・・・。
しかし、コンテンツ中心の時代に、コンテンツ製作者が勝利者とは限らない。
注視していきましょう。
話題の多くの企業は、この本をいつも机上に置いている事がよく分かります。
ここで、またネグロポンテ教授のビットとアトムの話が出てきます。あれも読み直してみよう。
評価:★★★★★
映画に例えるなら、過去のレビューを駆使した上での革新的な内容で、ふんだんな知性と知識を娯楽に昇華して新しい映像の歴史をつくった「マトリックス」のセンセーションでしょうか。