「知識創造企業」 野中郁次郎, 竹内弘高, 梅本勝博

知識創造企業

知識創造企業

暗黙知形式知
知識を創る会社の仕組みとは・・・を語る、一世を風靡した書。


この本は、知識を形式知暗黙知に分けた上で、その暗黙知を日本企業の強さだとします。そして、その暗黙知を紡いで成果を出す方法を、ミドルマネジャーの活用などの組織論で語ります。

形式知(explicit knowledge)」=文法にのっとった文章、数学的表現、技術仕様、マニュアル等に見られる形式言語によって表すことができる知識
暗黙知(tacit knowledge)=人間一人ひとりの体験に根ざす個人的な知識であり、信念、ものの見方、価値システムと言った無形ののもの。


この2つのタイプを組み合わせ、4つの知のつくり方があるという。
1-暗黙知から暗黙知をつくる。=共同化…親方と徒弟の関係、OJT。
2-暗黙知から形式知。=表出化…これは自分の思い、ノウハウを言葉にする。 
3-形式知から形式知。=連結化…コンピュータを駆使して言葉やコンセプトを組み合わせる。
4-形式知から暗黙知をつくる。=内面化…これは言葉やコンセプトを体得するということ、つまり、かみしめながら行動するということ。
これらをスパイラル状に回すこと。


で、このスパイラルというものを組織をどうしたらいいのか。
いろいろありますが、面白いのは軍事組織の引用。
最も機動的な組織は、私は米国の海兵隊という組織だという。第2次大戦というのは海兵隊の水陸両用に負けたといっても過言ではないと。
官僚制とタスクフォース化両方が必要というのも同じで、官僚制の効率性とタスクフォース型の暗黙知の発生促進を両方やれというわけです。
トップダウンでは
ボトムアップでは
だからミドルアップダウンというミドルマネジャーの活躍を


個人的には、うーん、申し訳ないが全面的に共感できませんでした。
暗黙知の指摘は面白いし、ハイパーテキスト型組織などは、ありえそうな気もするんですが、ただ、その反作用もたくさん思い浮かびます。
企業でのサンプルも、それがたまたまじゃない保証が、感じ切れない。

まあ、そういったDetailより、そもそも、この本は、日本企業の秘密を欧米向けに書かれた本だから。
(オックスフォード大学から英語で出版した「The Knowledge-Creating Company」の翻訳)
日本人の私が読むと、ちょっと海外向けの主張が強すぎちゃう感じは否めない。
ちょっと食傷気味に。


★★★☆☆


映画で言うと・・・知的なコンセプトはいいんだけど、なぜかしっくり馴染めないなあ、のロバート・アルトマン「M★A★S★H」とか。